日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
原著
小児円形脱毛症患者61例の治療および予後に関する報告
前島 英樹齊藤 典充天羽 康之新山 史朗向野 哲勝岡 憲生
著者情報
ジャーナル 認証あり

2012 年 122 巻 6 号 p. 1565-1569

詳細
抄録

当科で経験した小児円形脱毛症61例(14歳以下;男性30例,女性31例)を対象とし,成人円形脱毛症325例と臨床,治療効果を比較検討した.初診時,易抜毛性を認めた例は38例で,アトピー性素因の併発を認めた例は29例であった.病型は,単発型4例,少数型11例,多数型21例,びまん型10例,全頭型5例,汎発型7例,蛇行型4例であった.治療法は,冷凍凝固31例,SADBE外用塗布25例,トリアムシノロン局所注射11例,PUVA療法9例であった.略治例(治癒後6カ月後再発なし)は19例で全体の31%であり,成人例より良好であった.治療の選択により予後が左右されるが,冷凍凝固,トリアムシノロン局注やSADBEで効果がみられた.小児例では,成人例と比較してアトピー素因の併発率が高く,予後への影響を疑わせた.小児例の汎発型やびまん型で略治に誘導できた症例はなく,成人例よりも治療に難渋する傾向を示した.

著者関連情報
© 2012 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top