2013 年 123 巻 12 号 p. 2239-2246
より良い脱毛症診療を目指すためには,毛包の特性を理解し,疾患においてそれがどのように損なわれているか把握する必要がある.脱毛症発症のメカニズムは毛包構造の破壊と毛周期の異常の二つに大別される.毛包の部位別の機能や毛周期の特徴を知ることは疾患の病態把握,治療方針の決定,予後の予想に役立つ.多くの脱毛症の病態は体表の観察だけでは見えてこない.適した検査法(ダーモスコピー,抜毛テスト,系統的皮膚生検)の習得とそれらを用いて得た所見を治療に活かす技量が求められる.