日本皮膚科学会雑誌
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原著
単発性ケラトアカントーマ:Solitary Keratoacanthomaと臨床診断された症例の病理組織診断
安齋 眞一福本 隆也阿南 隆木村 鉄宣川名 誠司
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2013 年 123 巻 9 号 p. 1775-1784

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抄録

札幌皮膚病理診断科に病理診断を依頼された検体のうち,臨床診断がケラトアカントーマ(Keratoacanthoma:以下KA)とされていた単発性病変をもつ1,527例について,その病理組織学的診断を検討した.男性は873例,女性は650例,不明は4例.発生部位別では,顔面が最も多く,全体の約2/3を占めていた.次いで,頸部および上肢の遠位部の病変が多かった.病理組織学的診断では,上皮性腫瘍は1,397例(85.9%),非上皮性腫瘍は,99例(6.5%),炎症性疾患も31例(2.0%)含まれていた.病理組織学的に,KAの全体構築が確認された上皮性腫瘍病変(KA型病変)は999例(65.4%)であった.悪性病変は,KA型病変,非KA型病変合わせて28.5%であり,とくに60歳以上の例では39.0%にも及んだ.高齢者の顔面・頭部・四肢遠位部といった露光部では,とくにその比率が高かった.悪性腫瘍では女性の比率が比較的高かった.切除時年齢は,悪性腫瘍全体では77.5±11.5歳(34から100歳)であり,有意に良性病変の61.1±17.3歳(3から101歳)より高かった.60歳以上の顔面では,45.1%も悪性病変が含まれていたので,できるだけ早期の病変の全摘出が必要であると考えられる.

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