日本皮膚科学会雑誌
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原著
免疫グロブリン大量静注療法が奏効したGeneralized lichen myxedematosusの1例
松尾 佳美信藤 肇田中 麻衣子河合 幹雄秀 道広
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2014 年 124 巻 1 号 p. 39-45

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抄録

80歳,女性.初診2年前より両前腕にそう痒を伴う紅斑と赤褐色の丘疹が出現した.近医で紫外線照射やステロイドの外用加療を受けたが病変は拡大し,1年前より顔面に紅斑を伴う板状硬化も出現したため当科を受診した.初診時,上肢や上背部に数mm大の充実性丘疹があり,顔面の皮膚は硬く肥厚していた.皮膚生検では真皮全層にわたり線維芽細胞が増生し,alcian blue染色では膠原線維間に青色に染まる粘液が沈着していた.血液検査では甲状腺機能に異常はなく,M蛋白血症を認めた.以上よりgeneralized lichen myxedematosusと診断した.免疫抑制薬の内服やステロイドの局所注射を行ったが皮疹は徐々に悪化し,2年後には開瞼,開口に困難感を自覚するようになった.そこで免疫グロブリン大量静注療法(γグロブリン0.4 g/kg/日を5日間,4週毎)を3クール行ったところ,副作用を伴わず丘疹は平坦化し,皮膚は柔らかくなり,開瞼,開口障害も軽減した.しかし,半年後に再燃したため免疫グロブリン少量静注療法(γグロブリン0.4 g/kg/日を4週に1日)を定期的に行ったところ症状の進行なく維持できた.Generalized lichen myxedematosusは難治とされているが,近年海外で免疫グロブリン大量静注療法が奏効した例が報告されており,症例の重症度によっては治療の選択肢の1つとして考慮してもよいと思われた.また,定期的免疫グロブリン少量静注療法は寛解維持に有効と考えた.

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