2016 年 126 巻 6 号 p. 1119-1122
77歳,男性.胆石性胆管炎から敗血症性ショックを起こし,入院.両側の下腿大伏在静脈からドパミン塩酸塩(dopamine:以下DOA)を投与.投与後,血管外漏出を起こし当科を紹介された.留置針の刺入部周囲に発赤,壊死,水疱を認め,DOAの血管外漏出によるドパミン壊疽と診断した.局所処置を行ったが,その後,多臓器不全のため永眠した.DOAは低用量投与であっても,刺入部位の状態により局所濃度が増加し,末梢血管の収縮により広範囲な壊疽を生じる可能性があるので注意が必要である.