汗腺由来の悪性腫瘍は頻度が少ないため,各腫瘍の疫学的事項の情報は十分ではなく,予後に関する情報は少なく,治療方針は確立されていない.そこで,1996年から2015年までの20年間に群馬大学医学部附属病院皮膚科で組織診断した乳房外Paget病を除く汗腺癌36例を臨床的に検討した.患者の年齢は29歳から91歳,男女比は1:1で性差はなかった.発症部位は躯幹が15例と最多であり,足7例,下肢6例,その他の部位8例であった.全経過中,所属リンパ節転移を15例,遠隔転移を9例に認め,原病死は9例であった.
汗腺系腫瘍は臨床的特徴に乏しく,類似の組織像を呈する症例に様々な病名が提唱され,また同一病変内においても複数の組織型が混在する症例もあり,その分類は難しい.しかし組織型によって臨床経過や予後に違いがあることが今回の検討から示唆された.汗腺癌の治療方針の確立に向けて多施設共同の前向き臨床研究が必要である.