2018 年 128 巻 7 号 p. 1503-1507
68歳,女性.初診の3年前,左上腕の紅色皮疹に気づいた.近医皮膚科2軒で生検を受けたが,いずれも悪性像はなく当科に紹介された.左上腕に40×35 mmの境界明瞭な紅斑があり,生検でBowen病と診断し,切除した.切除標本では,異型ケラチノサイトの増殖部位は散在性に認めるのみで,紅斑部の表皮内には脂腺細胞塊が点在していた.Bowen病で自然消褪後の無疹部が混在することはしばしばあるが,紅斑部にも自然消褪領域は混在する.生検で悪性像がなくても,Bowen病が疑われる際には再生検を検討すべきである.