2019 年 129 巻 4 号 p. 543-547
53歳女性.関節リウマチの診断で経口金製剤1回服用後,皮疹と発熱が出現し,2日後に救急搬送された.全身に間擦部で融合傾向の強い紅斑があり,一部で小水疱がみられた.金の指輪でかぶれた既往があり,金製剤による全身性接触皮膚炎と診断した.金製剤による薬疹はかつて金疹と称され,注射金製剤によるものが多かった.しかし,すでに経皮感作されている人への金製剤投与による全身性接触皮膚炎の報告は少ない.金製剤による全身性接触皮膚炎は稀であるが,水銀と同様に激しい症状を呈し,皮膚科医として知っておくべき病態である.