日本皮膚科学会雑誌
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新・皮膚科セミナリウム 膿疱性乾癬の新しい病態と治療を理解しよう
2.自己炎症性角化症としての膿胞性乾癬(汎発型):膿胞形成のメカニズム
杉浦 一充
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2019 年 129 巻 6 号 p. 1311-1315

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抄録

最近,筆者らは自然免疫に関与する1つの遺伝子の変異が病因で炎症性角化症をひきおこす疾患群「自己炎症性角化症」を提唱した.膿胞性乾癬(汎発型)はしばしばこの自己炎症性角化症に含まれる.病因遺伝子はIL36RN遺伝子あるいはCARD14遺伝子である.IL36RN遺伝子変異により遺伝子産物のIL-36受容体拮抗因子(IL-36Ra)機能欠損を引き起こす.IL-36Ra欠損症の膿疱形成のメカニズムは以下のとおりである.最初にTLR-4リガンド,TNF-α,IL-1β,IL-17A等によりIL-36α,IL-36β,IL-36γの前駆体が誘導される.第二にIL-36α,IL-36β,IL-36γの前駆体が好中球由来のプロテアーゼでN末端が切断されて活性化する.第三にIL-36Raが機能欠損しているので,IL-36受容体以下のシグナルが持続して活性化される.最後にCXCL1やIL-8などの好中球を遊走させるケモカインが放出され,膿疱を形成されると考えられる.

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