2021 年 131 巻 12 号 p. 2589-2593
82歳男性.頭部血管肉腫に対し放射線療法とパクリタキセル投与8カ月後に局所再発が出現した.エリブリン無効,ドセタキセルで11カ月部分奏効を維持したが再燃し,パゾパニブ投与では肝機能障害をきたし2カ月で中止した.再発病変は頭部顔面にびまん性に紫斑性局面として拡大し開眼不能となったため,ドキソルビシン単剤療法を施行し部分消退を認めた.計7コース投与により局所病変の進行は緩徐となりQOLを維持することができた.血管肉腫に対するドキソルビシン単独療法について国内外の報告をまとめ,自験例を踏まえてその有用性につき考察した.