2022 年 132 巻 9 号 p. 2115-2124
表在性真菌症では,部位や年齢によって主たる原因真菌が異なる.頭部・顔面・体部では,20歳以上ではTrichophyton(T.)rubrumだが,0歳~9歳ではMycrosporum(M.)canis,10歳~19歳では,T. tonsuransである.また,M. canisは,頭部・顔・体部白癬では10歳以上でも1~2割程度検出される.それ以外の白癬では,年齢にかかわらずT. rubrumが最も多い.ただ,その傾向は,年代によって変化してきている.深在性真菌症では,免疫抑制状態に基づくとされる黒色菌糸症や皮膚クリプトコッカス症は増加傾向であり,免疫抑制状態に左右されないスポロトリコーシスや黒色分芽菌症は減少傾向である.近年菌名の変更が行われており,T. mentagrophytesがT. interdigitale,Sporothrix(S.)schenkiiがS. globosaとなっている.