2023 年 133 巻 12 号 p. 2849-2852
42歳女性.右乳がんに対し,20XX年5月右乳房全切除術,遊離腹部皮弁再建術を行い,20XX+1年10月,20XX+2年11月に2回の修正術を行った.右乳房の手術痕の一部に20XX+1年1月紅斑が出現し徐々に拡大傾向を認めたが,治療介入されず,20XX+3年5月当科初診.右乳房の縫合線全体に浸潤を触れる紅斑,その周囲に鱗屑を付す色素沈着を認め,貨幣状湿疹と診断した.保湿励行とステロイド外用治療を開始したが,改善までに時間を要した.乳房再建術後に貨幣状湿疹を生じる場合があることを皮膚科医も認識し,保湿励行,早期治療介入に努めることが重要であると考える.