日本皮膚科学会雑誌
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色素細胞母斑等に於ける亞硫酸フクシン組織化學反應の所見に就て
和泉 俊治
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1957 年 67 巻 11 号 p. 729-

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抄録

Feyrterは自ら神經髄鞘染色法として工夫した所の,封入染色法を用いて母斑組織を研究,母斑細胞質内の變染性類脂質に就き記載,その所見に據つて母斑細胞の神經(淋巴腔内皮)元説を樹立した.敎室の寺田は之を追試,母斑細胞神經櫛起源説(川村)に寄與する所見を得た.近時Chuは表皮神經をNucleal反應に依つて染色(後述參照),Liangも亦神經組織を亞硫酸フクシン組織化學反應に依つて染色し得ることを知り,之を神經組織内のアルデヒード性還元物質に因るものとした.亞硫酸フクシンに依るアルデヒードの呈色は有機化學に於ける重要な反應であるが,FeulgenのNucleal反應(Feulgen及びRossenbeck,1924)及びPlasmal反應(Feulgen及びVoit,1924)以來b\々組織化學反應としても亦應用され,過ヨード酸Schiff染色(PAS)は近時廣く多糖類染色に用いられている.また最近DeLamater等(1950)は,Feulgen nucleal stain,PAS及びアルデヒード媒染塩基性フクシン染色(aldehyde-mordanted basic fuchsin stain)に就て記載している.著者は先ず寺田のFeyrter封入染色の研究を更に擴大延長する目的を以てLiangの染色に依つて正常組織並びに母斑組織を觀察すると共に,諸種の亞硫酸フクシン組織化學反應並びにアルデヒード媒染性フクシン染色を實施,それら諸所見を綜合的に觀察した.

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© 1957 日本皮膚科学会
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