1959 年 69 巻 11 号 p. 1691-
三浦および楠はCrystal violet吸収能を檢することによつてCandida albicansの病原性を判定しうるとなした.井上は更に多数の色素を用いてこの成績を追試し,Triphenylmethane系とDiphenylmethane系色素にのみこの特性が証せられると記した.然し兩者共にかゝる現象の認められる色素の濃度の範囲の甚だ限られていることに注意を向けていた.そこで私はこの現象が一時的のものであるか,固定したものであるかを檢索しようと企図し,井上の用いた菌株を條件を変えて繼代培養して10代目に至らしめた上,同一の色素について一実験を行つた.以下にその成績を記したい.