日本皮膚科学会雑誌
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結節癩病変部に於ける皮脂腺の組織化学的研究
谷中 秀治
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1959 年 69 巻 5 号 p. 513-

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抄録

癩では各病型を問わず汗と皮脂の分泌障碍が存在し,殊に発汗の異常や停止が早期に来ることは古くから衆知せられ,癩の診断に役立てられている.癩の発汗障碍を実験的に始めて証明したのはKlingmullerによると1885年であり,以後汗腺に関する研究は数多く実施せられ,すぐれた成果を収めて居る.一方皮脂腺にあつては,癩病変に際して,その変化に関しての報告は極めて少数であつて,Muirは癩では皮脂分泌が旺盛となり癩菌を皮脂中に証明したと述べ,藤田・大森は癩病変部に於ては皮脂分泌が減少していると発表,我教室の有森は皮表脂質の計測実験を行つて,結節癩では結節形成最盛期に皮表脂質量が最も多く,結節が吸収されるにつれて脂質量が減少し,結節が消失した時期には更に減少すると述べて居る,兎も角局所の皮脂腺が癩病変により影響を受けることは推察される所である.私は結節癩に於て病期の変遷につれて,皮脂腺が組織化学的にいかに変化するかを,核酸,グリコーゲン及びズダンII可染性脂質の消長について検索し,見るべき知見を収め得たと考えるので,報告する.

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© 1959 日本皮膚科学会
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