日本皮膚科学会雑誌
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油脂,脂肪酸等投与に依る白鼠皮膚,特に皮脂腺に及ぼす影響
高橋 章
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1960 年 70 巻 1 号 p. 154-

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抄録

皮膚の臨床的機能乃至はその組織形態が,摂取脂質の如何に依つて,どの様な影響を受けるかと云う事は,栄養学的たも又皮膚科学的にも極めて興味のある問題である.この点に関するこれまでの研究は,主としてBurr等に依つて展開され,更にSinclairその他に依つてその知見が拡大されて来た.即ち主として,所謂必須脂肪酸の生理的又は臨床的意義に関する検討である.本邦に於ては,染川が,鯨油の系統的研究を行つた際に,これを白鼠に投与して,その臨床的症状に就て報告している.その他,スクアレン,Vit.A等の皮膚機能に及びす影響,或は組織形態に及ぼす変化等に関しても若干の報告を見る事が出来る.併し乍ら,皮膚と各種脂質乃至は脂肪酸との関係に就ては,依然不明の点が多いのである.私は,今回主として,2,3混合脂質として,大豆油,抹香鯨油.槌鯨油,スクアランを,更に,各種単一脂肪酸としてのステアリン酸,パルミチン酸,リノール酸,オレイン酸の種々の混合比からなる合成脂質を,夫々実験動物に投与し,その皮膚の臨床的変化,及びその組織学的変化に就て検討を加えると共に,又一方,脂質欠乏食餌を投与して,同様検討を行つた.

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© 1960 日本皮膚科学会
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