日本皮膚科学会雑誌
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皮膚代謝に関する研究(第5報) 皮膚Cholinesteraseについて
斎田 泰彦
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1960 年 70 巻 1 号 p. 84-

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抄録

皮疹並びに皮膚病変全体としての性状の形態的現象を能うる限り精密に観察記載し,病変部皮膚を病理組織学的に検査し,その異同によつて疾患の異同を論じ,原因を探し,治療を行うのが皮膚科の主なる仕事であつた.即ち皮膚科学は形態学的病理学的に基礎を置いた記載皮膚科学であつた.近年に至り生理学的,生化学的方法をとり入れた新しい病理学の分野の発達と共に,皮膚疾患の病態生理学(生化学)的検索が注目されるようになつた.ここでいう病態生理学的検索とは,皮膚疾患患者の血生化学的検索でなく,主として病変局所皮膚,即ち場lesionの生化学的変動の追求を指すことにした.斯かる意味での皮膚疾患の病態生化学的研究,即ち皮膚代謝の研究は,かなり以前から1部の人により注目されていた.又近年に至りRothman1派の廣範な研究があるが,未だ解明されない所が極めて多い現況である.著者は当教室における皮膚代謝に関する研究の1環として皮膚の,Cholinesterase(以下ChEと略)活性値を,家兎,ラッテの生理的,或は外来諸刺激並びに内臓諸器官障碍等の病的諸條件下にて測定し,更に人体皮膚の正常値と1部皮膚疾患患者の病巣皮膚のChE活性値を測定し,皮膚酵素の1つであるChEについて若干の知見を得たので,茲に報告する次第である.

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