日本皮膚科学会雑誌
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皮膚のアレルギー反応と血小板
林 藤之
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1960 年 70 巻 11 号 p. 1113-

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抄録

Kinsell-Kopeloff1)(1941)によりAnaphylaxie Shock時に白血球の減少と共に血小板の減少がみられることが報告されてから,約10年間の空白をおいてStork-Hoigne2)(1952)がArthus現象,Shwartzman現象発現時にも同様の事実の認められることを確認し,以来,アレルギーの臨床診断に於ける補助的手段として白血球減少指数(leucopenic index)と共に血小板減少指数(thrombocytopenic index)が一應は成書にもとりあげられている.然しながら文献を繙いても白血球像に就ての文献が夥しく多いのに対し,血小板のそれは極めて寥々たるものであり,まして血小板の変動と白血球像との関連,更にはアレルギー反應と密接な関係にある線維素溶解現象,出血乃至は血液凝固時間,血清電解質,毛細管抵抗等と血小板との関連に就ては殆ど全く顧みられていないと云つてもよい.そこで余は皮膚に現れるアレルギー反應発現時に於ける血小板の変動を主たる研究対象とし,同時にその際白血球像との関連,又上にあげたような線維素溶解現象その他との相関関係,更にはこれら一連の成績に及ぼす二,三抗アレルギー剤の影響を檢討し,こゝに聊か知見を得たので以下記述しようと思う.動物に於いては皮膚のArthus現象,人では寒冷及び人工蕁麻疹,固定藥疹,つベルクリン反應陽性例に就て行つた成績である.

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