日本皮膚科学会雑誌
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皮膚疾患に於ける皮膚腺機能の研究 第1篇 皮脂腺機能について
石田 昭雄
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1961 年 71 巻 10 号 p. 1047-

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抄録

皮膚疾患と皮脂分泌異常或いは皮膚科領域に於ける重要な問題として内外諸家により検討されており,皮脂腺機能に関しても,Ktuchenberg以来既に諸家により多数の業績の輩出をみている.皮脂腺機能は表皮に排出される皮脂量に直接反映すると考えられているが,周知の如く,皮脂中不飽和脂肪酸はある種の病原体に対して発育組織乃至殺菌的に働くことがMiescher,Peck等により指摘されており,Kuznitzky,Rothman et alは思春期における白癬,黄癬の自然消褪を皮脂分泌の急増によるものとしている.一方,諸種皮膚疾患における不飽和脂肪酸代謝の意義に関しては,Evans and Burr,Schornstein,Burr,G.O. and Burr,M.M.,Hansen,Cornbleet and Pace,Faber and Roberts,Brown and Hansen,Finnerud et al,Hansen and Burr,Janke and Lindemyr,Flesch et al或は佐藤,田中等多くの研究が行なわれており,皮脂腺分泌物乃至皮膚表面における不飽和脂肪酸の消長は甚だ注目すべき問題となつている.近年,Enderlin,Brun et Linder(1954)は不飽和脂肪酸の存在のもとにオスミウム酸がオスミウムに還元されて黒色を呈することに着目して,脂腺分泌物を濾紙に吸着せしめる新しい皮脂腺機能検査法を提唱した.その後Brun,Enderlin et de Weck,Van Scott and Kalz,Smith,望月・森,高石等の追試をみているが,原法では定量的比較が困難と考えられるので,私はこれらの濾紙上黒点による平行光線の吸光度を光電比色計にて測定し,これを数量的に表わして比較に便ならしめ,健康人並びに各種皮膚疾患における脂腺の態度を追及し,2・3の知見を得たので以下に報告する.

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© 1961 日本皮膚科学会
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