日本皮膚科学会雑誌
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皮膚中和能に関する研究
斎藤 昌二猪俣 雅子
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1961 年 71 巻 4 号 p. 364-

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抄録

酸或はアルカリの稀釋溶液を皮膚表面に接触せしめると,皮膚表面はこれに対し一定の緩衝作用を現わし,皮膚特有のpHを維持せんとする能力を有する.この現象はHeuss(1892)がフェノールフタレンに浸けた濾紙を皮膚に貼付した場合,これが脱色することを報じて以来一般に知られるようになつた.その後この皮膚中和能に関する研究はSharlit-Scheer(1923),Shade-Marchionini(1928),Burckhardt(1938),Koch(1939),Schmidt(1941),Robert-Jaddon(1942),Piper(1943),Schuppli(1949),Wohnlich(1949),Burckhardt-Baumle(1951),Vermeer(1951),Klauder-Gross(1951),Jacobi-Heinlich(1954)等の主として独乙系学者により研究せられて来た.この中でもBurckhardt(1938)は酸及びアルカリの量,濃度等を中和するのに要した時間を測定する方法で,アルカリ,酸に対する皮膚の耐性とその中和能との間には相関関係があり,しかも酸,アルカリ兩中和能は平行するものであると述べている.したがつて,たとえばアルカリ中和能が低いものはアルカリ性の物質に障害を受け易く,接触皮膚炎などを起すものであるとした.このことはVermeer(1951)その他によつて支持されている.最近Klauder-Gross(1951)は石鹸及び洗剤使用後の中和能を調べ,職業性皮膚炎の発生を予知し得るとした.以上のことから,最近しばしば遭遇する化粧品による皮膚障害と皮膚中和能との間に何等かの関連性が存在するならば,中和能を測定することにより化粧品等による皮膚障害を予防し得ると考え本実驗を行つた.なお又皮膚pH,或は皮脂腺の分泌状態と皮膚中和能との関連性等についても考察を行つた.

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© 1961 日本皮膚科学会
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