1961 年 71 巻 9 号 p. 959-
女子が中年から老年へと移行する,其の間の所謂更年期,それは大体40才から55才の間であり,此の時期,そこには閉経という現象と共に,全身的に種々の症状の現われることが多く,これ等を所謂更年期症状と呼ぶ,蓋し交感神経過敏状態を主とする自律神経障碍に困ると解せられるのもので,これに顔面の灼熱感,発赤,肩凝り,眩暈,頭重,頭痛,四肢冷感,動悸等,更に食思不振,胃部膨満感,便秘,時に下痢等の胃腸症状,更に精神不安定,焦燥感,視力減退,記憶力減少等の精神症状が挙げられていることは周知のとおりであるが,皮膚疾患にも更年期に於て発病,或は増悪し,原因的に或は病理上女子の更年期に於ける全身状況に関連を有すると考えられるものがある.