日本皮膚科学会雑誌
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Haloprozine外用による皮膚糸状菌症の治験
矢幡 敬
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1963 年 73 巻 4 号 p. 297-

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抄録

汗疱状白癬,頑癬などで代表される皮膚白癬症は,われわれ臨床家が日常遭遇しやすい,ポピュラーな皮膚疾患である.かつては,これら皮膚白癬症は,有効なる治療薬が比較的に少なかつたし,又,汗疱状白癬では,病原菌たるTrichophytonが足蹠,手掌の厚い角質層に寄生し,抗白癬菌剤が内部に浸透し難い為に,難治性の皮膚疾患として,皮膚科医を惱まして来ている.しかしながら最近の目覚しい治療医学の進歩に伴い,有機水銀剤をはじめとし,バリオチン,ナフチオメート-Nなどが次々と登場しているが,これらはいずれも外用薬である為,皮膚角質層内に存在する菌に外用薬として作用させた場合に,薬物の角質層内への滲透性を考慮すると,試験管内の抗菌価が,そのまま臨床上の成績とならないことは周知の通りである.Oxford, Gentlesらの研究によつて,新型の抗白癬菌剤として,グリセオフルビンが出現し,至難と考えられていた皮膚白癬症の治療法もようやく克服されたのである.現在では,皮膚白癬症に対する最高の治療法は,グリセオフルビン経口投与ではあるが,グリセオフルビンの長期にわたる内服の煩しさ,経済的な点を考えれば,従来の抗白癬菌剤による外用療法も捨て難く,又,一般臨床家も,好んで用いていることも容易に推察出来る.このたび,明治製菓において,同社中央研究所で発見された種々の抗生物質の構造研究と,引続き行われた一連の誘導体の合成研究により開発された非水銀性の新化合物ビあるハロプロジンを主成分とする新抗白癬菌製剤であるポリック軟膏およびチンキの提供をうけ,2,3の皮膚白癬症の患者について臨床治験を行つたので,その成績を報告する.

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© 1963 日本皮膚科学会
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