日本皮膚科学会雑誌
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細網症
H. A. Gottron
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1963 年 73 巻 4 号 p. 302-

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抄録

細網症(Retikulose)の概念は,細網細胞の増殖の総てをこれに数えると不明瞭なものになつてしまう.従つて,細網細胞の反応性可逆性増殖,その良性および悪性の腫瘍,並びに黄色腫やHand-Schuller病のような貪喰症はその埓外に置く.かくして狭義に絞られた細網症は,白血病三元説によれば,第3の白血病即ち細網組織球性造血系の白血病であり,それはまた細網組織の不可逆性増殖である.第3の白血病である細網症は,細網細胞がその合胞体から遊離し難い故に非白血性血液像を呈する場合が多い.細網症にあつては必ずしも総ての細網細胞が増殖するものでなく,少なくとも初期には皮膚の細網細胞だけが病変に関与する場合がよくある.またこの場合においても,増殖した細網細胞が血液の中に流れ出す場合がある(extramedulllare Zellausschwemmung).即ち,病的状態にあつては細網組織も亦造血器官となりうるものである.

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© 1963 日本皮膚科学会
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