日本皮膚科学会雑誌
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腸性肢端皮膚炎について
原田 誠一本田 光芳三浦 恒久
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1963 年 73 巻 6 号 p. 395-

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抄録

1935年Brandtは,“Dermatitis in children with disturbances of the general condition and the absorption of food elements”という表題にて4例の症例を報告している.その記載を要約すれば,「皮膚症状は特異であつて,開口部,手,足,肘,膝等対称的に侵され湿疹様変化を示した.症例はすべて離乳期に一致して発症し,数年の経過をとり,発育は停止した状態であつた.また4~6週間毎に熱発作が見られ,その時期に一致して,罹患部位の水疱,膿疱形成が著明となつた.その中1例は母乳により軽快し,その中止により再び悪化を示した.」とある.BrandtはこれをAcrodermatitis continua(Hallopeau)の異型と考えた.同年Soderlingは同様の症例の2例を報告しその家族的発生について言及している.また1937年Haxthausenも同様の見解を示し,特にその脂肪吸収障害について述べている.さらにatypical epidermolysis bullosa, generalized moniliaisという記載による症例がWende, Mac Lead, Hopkins, Bairdにより報告されている.その後1942年DanboltとClossは同様の症状を呈する2例について,詳細な検討を試み,先人の報告をも含めて,その独立性を指摘し,皮膚症状と同時に腸障害の存在が特徴であるとし,本症はAcrodermatitis enteropathicaと呼ばれるべきであると提唱した.彼等はその皮膚病変および腸障害などに関して次のように記載している.「特異的な症状は膿疱性皮膚炎でしばしば家族的,遺伝的に発生する.皮疹は離乳期に発生し,対称性にかつ体開口部同辺,躯幹,四肢の突出する部位に好発する.指末節の腫脹,爪廓炎,爪の萎縮,さらに完全脱毛,羞明,眼瞼炎,口腔粘膜の病変を認める.全身状態も侵される,経過は極めて慢性で周期的に増悪する.増悪期には泡沫状,悪臭ある黄緑色の下痢を伴い,脂肪便が見られる.また増悪期には患者の精神状態が変化する(精神病質の性格特徴).この疾患は胃腸障害によつて原発的に発生し,その結果ある種の代謝変化が生じいろいろの症状を呈するものと想像される.」1953年Dillahaはカンジダの寄生との関係について述べ,さらに特記すべきことは始めてDiodoquinを使用し著効を得たことである.これにより,これまで極めて予後不良であつた本疾患の治癒例もしばしば観察されるようになつた.本邦においては1956年樋口・宮崎の第1例報告より10例を数えるが未だ稀な疾患に属する.最近我々も本症の1例を観察しEnterovioformにより完全に治癒させることができたので追加報告する.

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© 1963 日本皮膚科学会
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