1968 年 78 巻 1 号 p. 48-
118例の水疱性,ヴィールス性ならびに腫瘍性疾患につき塗抹標本による細胞所見および組織標本所見の診断的価値を比較研究し,以下の如き結論を得た.塗抹標本は組織標本に取つて換り得るものではないが,天疱瘡,ヴィールス性疾患,腫瘍性疾患およびマストサイトージスには組織標本と同等の診断的価値がある.塗沫標本はただ単に速時診断に役立つのみならず,病的細胞を組織標本よりも拡大された形で見ることが出来る利点がある.他の皮膚疾患においては塗沫所見は上記疾患程の価値はない.しかし生検結果の出る前に何らかのヒントを与え得る場合が多く,また生検採取を肯じない症例には有用な診断資料を供するものとおもわれる.