日本皮膚科学会雑誌
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経皮感作とアルカリ中和能,皮膚pH,皮脂量,角層との関連について
溝口 昌子
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1970 年 80 巻 4 号 p. 213-

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抄録

経皮感作成立には種々の因子が関連し,その関連の仕方,程度は様々であるといわれている.経皮感作とアルカリ中和能,皮膚pH,皮脂量等の皮膚表面性状との関係については,主として職業性接触皮膚炎の研究に付随して研究報告されてきた.1935年Burckhardtは左官業などにみられる職業性接触皮膚炎患者にアルカリ中和能低下,アルカリ抵抗減弱を示す者が正常者に比べ多数みられることを報告した.しかしBurckhardtは,アルカリ中和能低下は感作されやすさの直接の原因ではなく,単にアルカリに対する皮膚の生理的防禦機能低下を表わし,一次的皮膚刺激を受けやすい状態にすぎないと考えている.また同年Burckhardtはニッケル工場の工員に皮膚炎患者が多く,これらの患者はニッケルに感作されていることを調査し,その原因として作業中にアルカリ性の液に皮膚が曝される機会が多く,そのため

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© 1970 日本皮膚科学会
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