日本皮膚科学会雑誌
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蛍光抗体法による皮膚カンジダ症病原菌の迅速同定法
斎藤 信也
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1971 年 81 巻 12 号 p. 1047-

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抄録

カンジダに属する菌種の分類,同定は主として形態,醗酵,同化作用などの生物学的諸性状に基づいており,Martin & JonesやLodder & Kreger-van Rijなどの方法が一般に行なわれている.以前から血清学的方法にも注目されてはいたが,分類,同定の根拠にはなし得なかつた.しかし土屋らは因子血清を用いたslide凝集反応によつて,血清学的同定,分類への道をひらいた.一方Coonsらによつて開発された蛍光抗体法はEvelandらによつてCryptococcus neoformansに応用され,真菌の分野においても同定に対して有用な方法であることが認められ,Sporotrichum(Kunz)やTrichophyton(三浦,Walzerら)などによつても用いられている.カンジダ菌に関してはGordonが菌種の鑑別,同定に本法を用いたのが始まりであり,培養した菌については勿論のこと,更に臨床材料中のカンジダ菌検出による迅速な診断,迅速な菌種同定も試みられている.しかし本法による同定の対象となつた臨床材料は,腟,口腔内容塗抹標本を除けば,組織切片標本に限られている.本研究においては皮膚および爪カンジダ症を対象とし,病変部から採取した鱗屑または爪片に直接蛍光抗体法を施し,原因菌の迅速な同定を試みた.

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© 1971 日本皮膚科学会
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