日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
人工蕁麻疹におけるIgE
青山 久
著者情報
ジャーナル 認証あり

1971 年 81 巻 7 号 p. 603-

詳細
抄録

著者は先に,機械的刺激が加わつたときに膨疹の発生をみる人工蕁麻疹の血清中に,皮膚描記症を正常人に移すことのできる物質が存在することを確かめ,この物質がIgAあるいはIgE分画に属する蛋白質であることを明らかにした.すなわち,皮膚描記症を呈する人工蕁麻疹患者の血清0.1mlを正常人の皮内に注射して,注射によつて発生した膨疹が消失した後(6時間後)に同部位に機械的刺激を加えたところ膨疹発生をみた.この血清成分は56℃,30分加熱によつて活性がなくなり,collodion backを通過せず,易熱性の高分子物質であつた.zink sulfateを使用して塩析を行なつた結果,活性は上清に残つた.上清中にはIgG,IgMがなく,原血清の2倍程度のIgAが存在した.この結果,血清成分がIgG,または,IgMでなく,IgA,または,IgEである可能性が考えられた.つぎに,抗IgE血清も含まれるBehringwerke社製の抗IgA血清にてimmunoabsorptionを行なうと活性は消失した.以上より,血清成分がIgA,あるいは,IgEであることが分つた.

著者関連情報
© 1971 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top