1972 年 82 巻 6 号 p. 343-
Mycobacterium marinumの皮膚感染症5例を記載し,分離菌の細菌学的観察所見について報告した.(1)5例とも魚類を感染源として発症した.うち3例は水族館の飼育係である.なお5例中4例は職業性に発症した.(2)病巣はすべて手指,または前腕にみられ,難治性の肉芽腫あるいは潰瘍など,多彩な傾向を示した.全例の生検組織ホモジネートから菌を培養した.(3)水族館員の3例では,その職場の水槽の水,および病死したイシダイからも菌を証明した.(4)分離菌は一般細菌学的性状,生化学試験,動物に対する毒性試験から,M.marinumと同定された.分離菌はCF1系マウスをたおすが,DD系マウスでは肺に病変を認めなかった.(5)薬剤感受性試験ではethionamid,ethambutolおよびrifampicinに感受性が認められた.(6)3例はrifampicin内服で治癒し,1例はkanamycin筋注で治癒した.