日本皮膚科学会雑誌
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色素性乾皮症のヘテロカリオンにおけるDNA修復合成について
秋葉 弘加藤 泰三清寺 真
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1975 年 85 巻 8 号 p. 459-

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抄録

色素性乾皮症 (XP) 患者9人および光線過敏のないヒト (N) 4人より皮膚線維芽細胞を培養した.これらから二種の細胞を選んでは,不活化 HVJ ウイルスを用いて融合し,種々のヘテロカリオンを作った.これに紫外線 (GL15, 254nm) を照射し DNA 修復合成がどの程度起こるかを,3H-TdR のとり込み(ラジオオートグラムによる不定期 DNA合成の測定)で観察した. (1) XP-2, XP-7, XP-8 では,全て不定期合成がほとんどなく,相互間のヘテロカリオンで修復の回復はなかったので,これらは同じ相補グループに入ることになる. (2) XP-1, XP-4, XP-9 の間では修復能の相補作用がなかったので,これらは同じ相補グループに入る. (3) XP-1とXP-8, XP-1 と XP-2, XP-4 と XP-2, XP-9 と XP-8 では相補性があった. (4) XP-2 と XP-8 は N-3 および N-4 との融合によって修復が回復した.以上の事実から XP-2, XP-7, XP-8 は Kraemer らのいう相補グループ A に, XP-1, XP-3,χP-4, XP-6, XP-9 は恐らく D に属すると推論する,相補ダループを調べて遺伝子型の違いを明らかにすることは患者の予後を知る上で有意義である.ヘテロカリオンにおける相補機序は明らかでな

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