日本皮膚科学会雑誌
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ヒト皮膚プロテオグリカンについて
高間 弘道小林 敏夫岩田 久
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1976 年 86 巻 6 号 p. 351-

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抄録

ヒト皮膚プロテオグリカンの抽出及び抽出されたプロテオグリカンについて検討を加え,次のようなことが明らかになった. 1.1M以上の濃度のグアニジン塩酸で抽出したプロテオグリカンは Tris 塩酸緩衝液に透析すると沈澱を生じ,この沈澱形成にはプロテオデルマタン硫酸が大きな役割を果していると考えられる所見を得た. 2. 4M グアニジン塩酸で抽出したプロテオグリカンは,軟骨プロテオグリカンに比べかなり heterogeneous なセシウムクロライド密度勾配遠心分画パターンを示し,これは主としてプロテオデルマタン硫酸によると思われた.更に精製を行ってもやはり,プロテオデルマタン硫酸は heterogeneity を示した. 3. 4M グアニジン塩酸抽出にひき続くコラゲナーゼ抽出プロテオグリカンには,ヒアルロン酸が多量に含まれ,ヒアルロン酸が何らかの形でコラーゲンの構造維持に関与しているのではないかと思われた. 以上のことから,皮膚プロテオグリカンの構造と機能を,正常あるいは病的皮膚について検討する上で,皮膚プロテオグリカンと,コラーゲンなど他の結合組織構成高分子との相互作用,またプロテオデルマタン硫酸の heterogeneity は非常に一重要であると考えられる.

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© 1976 日本皮膚科学会
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