日本皮膚科学会雑誌
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組織培養による結合織の研究 -とくにマウス胎児皮膚線維芽細胞におよぼす制癌剤の影響について-
辻口 喜明
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1976 年 86 巻 9 号 p. 529-

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抄録

マウス胎児皮膚線維芽細胞および L-929 細胞を組織培養し,嗜銀線維形成を渡辺鍍銀法を用い,経日的に観察した.また培養細胞の発育におよぼす制癌剤や酸性ムコ多糖の影響にっいても検討し,次のような結果を得た.マウス胎児皮膚線維芽細胞では初代培養12時間目に既に嗜銀線維がみられ,漸次増加し,長く太くなり,6日目には東状の線維がみられた. L-929 細胞では組織化学的に嗜銀線維形成はみられなかった. 正常線維芽細胞に.対して Actinomycin D は形態学的に細胞の萎縮,核の均質化などの最も強い変化を起こし,Bleomycin では原形質の染色性低下,核の均質化などの変化がみられ, Betamethasone では細胞の融合傾向,原形質の染色性低下などの変化がみられた.また用いた制癌剤中, Actinomycin D, Mitomycin C, Vincristine が低濃度で 3H-proline の取り込み阻害率が高かった. L-929 細胞に対して, Chondroitin sulfate A は 0.5μg/cc. 5μg/cc,Chondroitin sulfate C は 50μg/cc の濃度で生長促進作用を示したか Chondroitin sulfate B では 50μg/cc の濃度で軽度抑制作用を呈しHyaluronate は殆んど影響を与えなかった.

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© 1976 日本皮膚科学会
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