皮膚感染症において起因菌たる頻度の高い S, aureus を被検菌として用い,これに対してリゾチーム,半合成ペニシリン Amoxicilliti を各夕単独または各種濃度に組み合せた系を作用し,その殺菌効果を試験管内及び電子顕微鏡下に観察した.結果としては,リゾチーム単独では僅かな殺菌効果しか示さぬが,極めて微量の Amoxicillin を併用ナると今度はリゾチームの濃度依存性に殺菌効果を示す事が明らかとなった.また電子顕微鏡下では,これら殺菌効果は細菌壁離断による溶菌によるものであろう事が示唆された.以上の知見は,皮膚殊に表皮上層での厚いリゾチームの分布と考え併せ,本酵素の感染防禦作用を示唆させる重要な知見と思われるので報告する.