日本皮膚科学会雑誌
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SLEにおけるLupus Band Test の臨床的意義
安江 隆
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1980 年 90 巻 10 号 p. 901-

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抄録

SLE 患者の無疹部(上腕内側)にて lupus band test (LBT)を行い,27例中15例(55.6%)で陽性であった.腎症状を主症状とする群(N群)では,LBT の陽性率が高かった(72.2%)のみでなく,その隅性度も強く,また強陽性例では,いずれも中等症以上の腎炎が認められた.一方, CNS を主症状とする群(CNS 型)や,皮唐症状や関節症状を主症状とする俳(SA型)では,LBT の陽性率は低く(ともに40.0%),強陽性のもまれで,陽性度に関してこれらと腎症群との間には明らかな差(P<0.05およびP<0.01)が認められた.粘膿疹や汎発性滲出性紅斑が認められた症例の LBT の陽性率は高かったが,皮疹の有無による LBT の陽性率の差は認められなかった,少量あるいは短期間の副腎皮質ホルモン剤や免疫抑制剤の投与の LBT への影響はないと思われたが,大量投与の場合はその陽性度が低下する傾向があった.また,SLE が治療によりうまくコントロールされているようにみえても, LBT は陽性のことがあった.すなわち,被覆部(無疹部)での LBT は,ループス腎炎の重症度や予後の判定,あるいは治療のための指標としては非常に有用であるが,軽症 N 型, CNS 型,SA 型の SLE 症例ではこれが陰性のことが多いので SLE と他疾患との鑑別を目的とする LBT の場合は,陽性率がこれよりも高い露出部(無疹部)か,または皮疹部で LBT を行った力がよいと思われた.

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© 1980 日本皮膚科学会
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