日本皮膚科学会雑誌
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毛包・脂腺の電子顕微鏡的研究 第2報 脂腺母斑の正常脂腺との比較的研究 -特に脂質形成機序について-
内平 信子
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1980 年 90 巻 12 号 p. 1103-

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抄録

脂腺母斑を正常脂腺との対比のもとに透過及び走査電顕を用いて検索し,その超微形態的特徴,特にこれら両者の脂腺細胞における脂質形成について比較検討した. 1.脂腺母斑を小児期と思春期ないし成人期とに分け,それら脂腺細胞の微細構造的特徴を正常脂腺細胞と対比して検討した.その結果,透過電顕的には小児期脂腺母斑の細胞は正常脂腺細胞に比して細胞質内でのグリコーゲン顆粒の蓄積が顕著であり,かつその蓄積内を縦横に走る細管様構造のネットワークの存在が特徴的と考えられた.これに反して思春期及び成人期脂腺母斑の胞にはこのような所見はみられず,正常脂腺の細胞と比べて特別の相違を示さなかった.走査電顕的には,小児期及び思春期脂腺母斑とも腺葉の辺縁に近い部に正常脂腺ではみられない巨大な脂質滴が観察された. 2.脂腺細胞における脂質形成は,小児期及び思春期ないし成人期の各脂腺母斑においても正常脂腺と同様に滑面小胞体及びグリコーゲン顆粒の関与による脂質形成が主体と考えられたが,このほかにもglycogenolysis や,ミトコンドリア内で生じる脂質の存在も否定できないと推察された.

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© 1980 日本皮膚科学会
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