日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
本邦における自己免疫性水疱症患者のHLA抗原について
橋本 公二
著者情報
ジャーナル 認証あり

1980 年 90 巻 5 号 p. 405-

詳細
抄録

本邦における自己免疫性水疱症患者のHLA抗原を調査し,1)尋常性天疱瘡及び落葉性天疱瘡においていずれも HLA-A 10の増加を認め,両疾患のHLA抗原関連疾患感受性因子が共通している事が示された.また尋常性天疱瘡における,かかる結果は Krain らの Ashkenazi 系ユダヤ人についての報告と一致しており Ashkenazi 系ユダヤ人及び日本人の如く,正常人における HLA-A 10 の頻度が高い場合に,尋常性天疱瘡と HLA-A 10 との関連が明確になるといえる. 2)水疱性類天疣瘡では特定の HLA 抗原との関連は認められなかった. 3)ジューリング疱疹状皮膚炎では特定の HLA抗原との関連はなく,白人種でみられる HLA-B 8 は認められなかった.しかし,なお本邦症例では表皮真皮接合部の IgA 沈着パターンはほとんど線状であり,この型は Katz らの言う如く, HLA-B 8 と関連する lgA 沈着パターンの顆粒状のものとは別症の可能性が示された

著者関連情報
© 1980 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top