1981 年 91 巻 12 号 p. 1299-
老人性乾皮症の表皮の変化を電顕的に観察した.1.角層細胞は電子密度が全体に均一に低く各層細胞屑の表屑と最下層の細胞との問に正常でみとめられる電子密度の差が存在しなかった.ケラチンパターンもみとめられなかった. 2.先に皮膚の抵抗を測定する器械によって老人性乾皮症では角層表面の水分量の著明な減少,すなわち,乾燥性を認めたがこれは角層表層のみの変化に由来するものではなく,角層全体の変化に由来するものであることが判明した. 3,ケフトヒアリン顆粒の数は著明に減少していたが電子密度は正常であった. 4. 正常構造を有する層板顆粒は全くみとめられず,代って空胞状の顆粒が形成され細胞間に分泌された. 5. Marginal Band は正常に形成されていた.