日本皮膚科学会雑誌
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化学発癌剤20-Methylcholanthrene誘発マウス皮膚癌の検討 第4報 ヒト非瘢痕性有棘細胞癌との類似性について
堀 真江上 和也広瀬 寮二鳥山 史里見 行義中浦 優篠田 英和
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1981 年 91 巻 6 号 p. 659-

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抄録

すでに第1報において報告したように,化学発癌剤 20-Methylcholanthrene で誘発したマウスの keratoacanthoma 型の squamous cell carcinoma (以下K型SCC)はfoUicuIar origin であることはあきらかであるが,ヒト非瘢痕部に発生し,臨床的に keratoacanthoma に酷似する squamous cell carcinoma もマウス K 型 SCC およびヒト熱傷瘢痕癌との臨床的,組織学的な比較検討より follicular origin であると思われた.すなわち,両者ともに,肉眼的に keratoacanthoma に酷似し,組織学的に正常表皮より反転し,真皮に向かって腫瘍性増殖が始まること,毛嚢上皮より悪性化か始まる所見がみられること,腫瘍細胞で構成された毛嚢様構造がみとめられ,同部に trichilemmal keratinization がみられることなどつよく foUicular origin が考えられた.以上のような結果より,非瘢痕部に発生し,肉眼的にkeratoacanthoma に類似する腫瘍は foUicular origin であり pseudoglandular squamous cell carcinoma のうち keratoacanthoma 型の腫瘍もマウス K 型 SCC と同一範縞に入るものであると結論した.

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© 1981 日本皮膚科学会
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