日本皮膚科学会雑誌
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補体結合性抗表皮細胞間抗体による実験的棘融解の試み
橋本 隆
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1981 年 91 巻 8 号 p. 815-

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抄録
従来,種々の天疱瘡患者において,患者病変皮膚表皮細胞間(IC)に lgG の沈着の他に補体の沈着が高率に認められる l)-4)にもかかわらず,in vitro においては,患者血清中に認められる IC 抗体には拙体結合性は認められないとされてきた 5).しかし,近年,通常の蛍光抗体補体法を用いることにより,一部の患者の治療前の病勢の著明な時期のみ,血清中に補体結合性を有する IC 抗体が存在し,その抗体価は IC 抗体の抗体価に比して低値を示すという報告かある 6) 7) ,一方,IC 抗体を有する天疱瘡患者の血清を培養液として正常皮膚片を器官培養すると,その IC に lgG の沈着と棘触解様変化を生じ,その反応には拙体は関与しないとも言われている 8)-14). 今回,著者は,9例の補体結合性 IC 抗体を有する患者血清を含む16例の種々の天疱瘡患者血清を用いて正常ヒト皮膚を器官培養し, in vitro における補体結合性 IC抗体の作用と補体系の関与を検討したので報告する.
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© 1981 日本皮膚科学会
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