日本皮膚科学会雑誌
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Epidermotropically Metastatic MalignantMelanoma : Primary Melanoma との鑑別
嵯峨 賢次木造 敬加藤 光子西尾 千恵子神保 孝一
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1982 年 92 巻 11 号 p. 1147-

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抄録

表皮内にも黒色腫細胞の存在する転移性黒色腫,いわゆる Epidermotrop icallymetastaticmalignant melanoma (ETMMM)と原発性黒色腫との鑑別を目的として ETMMM の3例を組織学的に検討した. ETMMM の組織学的特徴は以下の通りである. 1)真皮内の腫瘍細胞の圧迫により表皮は薄くなり,真皮乳頭層は拡大し,周辺の表皮突起は内側へ向って延長している. 2)真皮内に内皮細胞に囲まれた腫瘍細胞が存在する.3)真皮内の腫瘍巣は表皮内と等しいか,あるいはそれよりも広い範囲にわたって存在する.4)リンパ球浸潤の程度が軽度である. ETMMM の肉眼所見は,1)半球状の丘疹であり,2)色調は一様で,黒ないしは黒褐色である. 3)周辺の紅斑は軽度であり,丘疹の周辺に色素斑を伴っていない. 以上の組織学的,肉眼的特徴を考慮することが ETMMM と原発性黒色腫との鑑別上重要である.

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© 1982 日本皮膚科学会
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