日本皮膚科学会雑誌
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Hailey-Hailey病及びDarier病における培養表皮細胞の解離性とその制御について
石橋 康正梶原 洋一井上 由紀子久木田 淳
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1982 年 92 巻 14 号 p. 1447-

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抄録

Hailey-Hailey 病(HHD) 及び Darier 病(DD)における acantholysis の本態を解明する目的で,両疾患皮膚組織を体外培養し,解離性に遊出する表皮細胞(OEC)が,正常のそれに如何なる影響を及ぼすかを検索した. 1)培養初期では,両疾患 OEC の解離性は特に正常のそれに影響を与えるとは思われなかった. 2)しかし或る経過の後には,前者は正常のそれに解離性影響を与え,それは培養液を新鮮なものと取り替えることにより阻止され,またその液の減少により再び出現せしめられた. 3)細胞解離を起こした培養液を取り,やや希釈して正常 OEC に加えると,後者は明瞭な解離性を示した. 4)上記培養液による解離阻止効果は,血清を含まない Eagle MEM が最も顕著で,血清を含有する場合は. FCS, HHD 患者血清及び正常人血清の間に殆んど差を認めなかった.

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© 1982 日本皮膚科学会
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