1982 年 92 巻 14 号 p. 1477-
Trichilemmal keratinization (以下 TK と略す)様角化を伴う皮角すなわち trichilemmal horn(以下 TH と略す)の11例を報告した.病理組織学的に,これらは1ないし数個の U 字型ないし V 字型を呈する上皮増殖とその上部の著しい角質増生とを特徴とする基本構築を有する.より詳細にみると TK 様角化は tri・chilemmal cyst の壁構造とほぼ同様の I 型,より平坦で錯角化の著しい II 型,V 字型の角質柱の下方にのみみられ,かなり多数のケラトヒアリン穎粒を有する III 型の3つの型に分類可能であった.このうち III 型はウイルス性尭贅における TK 様角化に類似していた.また今回の11例中3例は手掌,指腹に認められたことから,外毛根鞘と関連しない TK 様角化すなわちpseudo TK という概念を提唱した.