日本皮膚科学会雑誌
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補体結合性抗基底膜部抗体による好酸球の基底層への固着現象
岩月 啓氏田上 八朗山田 瑞穂
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1982 年 92 巻 14 号 p. 1503-

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抄録

抗基底膜部抗体と補体の存在下で,皮膚基底層に好中球のみならず,好酸球も固着することとを実験的に示した.この現象は基底膜部に結合した補体成分と好酸球の持つ補体レセプターによる反応が主体であった,実際に,類天疱瘡患者の初期病変部では基底層に白血球が接着している像が認められることがあり,生体内でも類似の反応が起きていると考えられ,本症の病態を知る上で示唆に富んだ現象であると思われる. 基底層へ固着する好酸球の比率は,白血球浮遊液中の好酸球の比率に依存しており,好酸球の固着が選択的に起きるわけではなかった.病変部の水庖内に認められる好酸球の浸潤には免疫グロブリンおよび補体由来の遊走因子以外の因子が必要であろりと推測した.

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© 1982 日本皮膚科学会
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