日本皮膚科学会雑誌
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皮膚に対する界面活性剤の作用 Ⅶ.陰イオンおよび非イオン界面活性剤混合系の皮膚に与える影響
河合 通雄岡本 暉公彦
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1982 年 92 巻 4 号 p. 465-

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抄録

表皮乾燥落屑性変化を生じさせる作用の強い陰イオン界面活性剤である直鎖アルキルベンゼンスルホネート (KAS)と,表皮乾燥落屑性変化を生じさせる作用の弱い非イオツ界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル(PAE)を用い,界面活性剤が皮膚に吸着した時に,いかなる皮膚反応が生ずるか検討した.づ表皮乾燥落屑性変化は,LAS : PAE = 1:1の際顕著に減少し,また LAS の酵素蛋白に与える作用も同様に減少することを認めた.本機序の解明のため 14C ラベル LASと 14C ラベル PAE を合成し用い,両界面活性剤のヘアレスマウスに対する吸着量を測定した結果, PAE の添加により LAS の吸着量が1/4~l/5に減少することが確認された.本結果より,ある種の界面活性剤の吸着性が表皮乾燥落屑性変化を生じさせる原因であることが推察された.

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© 1982 日本皮膚科学会
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