1982 年 92 巻 8 号 p. 871-
近交系モルモット Hartley/F に確立した可移植性腫瘍 U-1 細胞を静注して肺腫瘍を形成せしめ,種々の条件下で BCG 生菌を頻回に経口投与して,その抗腫瘍効果について検討した. モルモットに大量の BCG を長期間頻回に直接胃内投与しても副作用はみられず,速やかにツベルクリンアレルギーの感作が成立し,亢進することが判った.腫瘍の免疫療法の実験では BCG を口腔内に頻回投与した際,ツベルクリンアレルギーの前感作処置動物にのみ抗腫瘍効果が認められた.しかし BCG を直接胃内に頻回投与した場合には,ツベルクリンアレルギーの前感作処置の有無にかかわらず,抗腫瘍効果が認められた.また最初に大量のBCGを直接胃内に投与すれば,それ以降は BCG の投与量を少量にしても抗腫瘍効果のみられることが判った BCG の直接胃内投与と Mitomycin C を併用した化学免疫療法を行うと Mitomycin C .を単独に用いた場合よりその抗腫瘍効果が有意に認められた以上のことから BCG を直接胃内投与すれば速やかにツベルクリソアレルギーが亢進し,腫瘍の生着阻止及び増殖抑制効果のあることが明らかとなった.