日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
学会抄録
ジャーナル 認証あり

1983 年 93 巻 1 号 p. 55-

詳細
抄録

第 VIII 因子関連抗原 factor Vlll-related antigen (FVIII-R : AG) を血管内皮細胞のマーカーとして,各種脈管系腫瘍のパラフィン切片について非標識酵素抗体法 unlabeled peroxidase-antiperoxidase method (PAP法),一部には蛍光抗体間接法により検索を行った.その結果, FVIII-R : AG は,正常および血管の炎症性,腫瘍性の増殖のいかんに係わらずそこに存在する毛細血管および血管の内皮細胞内に認められる.一方,リンパ管内皮細胞にはその局在は認められない.また,血管内皮細胞の増殖の起こる疾患ないしは腫瘍においては,内皮細胞の未熟度,悪性度につれて染色性は減弱または陰性化するが,悪性血管内皮細胞腫や血管肉腫において乱すべての腫瘍細胞が陰性化するわけではない.従って, FVIII-R : AG の局在を調べることにより,血管内皮細胞由来の腫瘍の診断に使用しうるものと思われる.

© 1983 日本皮膚科学会
前の記事
feedback
Top