日本皮膚科学会雑誌
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Pringle病に見られる特異な非上皮性細胞の本態に関する知見補遺(V) -細胞分裂過程の異常について-
石橋 康正井上 由紀子竹原 和彦古江 増隆久木田 淳
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1983 年 93 巻 10 号 p. 1045-

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抄録

21歳,女子の典型的 Pringle 病患者につき,顔面の巨大懸垂状線維腫及び所謂脂腺腫を体外培養し,遊出する非上皮性細胞(ONEC)の分裂像を経時的に観察,次の結果を得た. 1)ONEC の分裂像は,各培養組織に共通して概して小・中型の細胞に多く見られ,大きさが増すにつれてその頻度を減じ,特に大型のものでは希であった. 2)分裂時間は細胞によって必ずしも一律ではないが,一般に小・中型のものでは短いものが多く,大型になるにつれて長いものがふえる傾向が認められた. 3)分裂の結果は細胞により必ずしも一様でなく,殊に大・中型細胞は分裂中期に chromosome (Ch) が細胞中心部に整列する際,部分的配列,偏在,整列不能等の不備を示し,その後の分裂に著しい遅滞を来たし,その結果,i) 大,小瘤状の隆起を形成,その一部を細胞外に放出して2個に分裂, ii)大きさの不均等な大,小2個に分裂, iii)極小“細胞”を形成して3個に分裂,  iv)一旦数個に分裂するが,多くは後に融合して2個に復す,V)分裂が全く不能で1個となる, vi)分裂後多核を形成する等,主としてC-mitosisを示唆する様々な異常を示した. 4)以上の所見から,これら ONEC には, Ch の分配機構,即ち“centriole-microtubulus・centromere system ”,殊に microtubulus 関連機構の形成乃至機能に障害があることが推測された.

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© 1983 日本皮膚科学会
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