日本皮膚科学会雑誌
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Erythroplasia of Queyrat -本邦61例の統計的観察-
前田 学森 俊二
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1983 年 93 巻 11 号 p. 1177-

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抄録

75歳および49歳男性の亀頭部に生じた erythroplasiaof Queyrat (EQと略)の2例を報告し,あわせて本邦で報告された61例の EQ にっき集計を行い,自験例と文献例より EQ の臨床的特徴,組織像,鑑別診断,予後,治療および EQ の独立性などを考察した.要約すると, 1)男性に多く,60歳代に多い. 2)鮮紅色ないし紅褐色調を呈し,わずかに皮膚面より扁平隆起した臨床像を取り,表面はビロード状ないし平滑で境界鮮明である.男性は亀頭部に最も多く,女性は大,小陰唇に多い. 3)組織像では Bowen 病に類似し,表皮肥厚,錯角化を認め,穎粒層は減少し,有無層の配列はやや不規則で,大小不同,時に核分裂像を見るが, Bowen 病に比べ,個角化の少いことや,主に有辣層ド半部に異型細胞が見られることが多い点が異る. 4)合併症として SCC などの癌が13例,白板症が7例,コンジローム様癌前駆症が3例に見られた. 5)治療は切除術や陰茎切断術,抗癌剤,X 線療法などであるが,再発が10例に見られた. 結論として EQ は臨床的並びに組織的な特徴より,独立の疾患単位として扱うのが妥当と考えられる.

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© 1983 日本皮膚科学会
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