日本皮膚科学会雑誌
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乾癬表皮における核DNA -顕徴蛍光測光による観察-
笹井 陽一郎川村 光二野村 洋文難波 和彦
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1983 年 93 巻 4 号 p. 415-

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抄録

乾癬表皮における基底細胞および有棘細胞における核 DNA の変化を,顕微蛍光測光法により検索した.材料は5例の尋常性乾癬の他,非水疱型先天性魚鱗様紅皮症,尋常性魚鱗癬および正常人の,大腿伸側から採取し, 0.25%α-Chymotrypsin 溶液に浸漬して基底細胞・有棘細胞を分離した.染色は, Pararosaniline Schiff 液により Feulgen反応,一部には Feulgen 反応と Acriflavine Schiff 液による Ninhydrin-Schiff 反応を重複しておこなった.作製された DNA ヒストグラムより, Dean の変法にもとづいて細胞周期各期の割合を算出した.その結果,基底細胞においては乾癬および魚鱗癖様紅皮症にあって S 期の占める割合が大で,尋常性魚鱗癬は正常表皮に近い値であった. G1 期細胞の核蛋白量は,乾癬にあって最も大で,次いで魚鱗癬様紅皮症,そして尋常性魚鱗癬は正常表皮に近い値であった.このことは,乾癬にあって基底細胞の多くが周期内にあることを示している.また有棘細胞では,乾癖のみが2峯性の DNA 分布を示し,蛋自量も大であった.

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© 1983 日本皮膚科学会
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