日本皮膚科学会雑誌
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Candida albicansの産生する角質溶解性タンパク分解酵素の2,3の生化学的性状について
松田 和子服部 道廣鈴木 佳子佐藤 壮彦小川 秀興
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1983 年 93 巻 4 号 p. 463-

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抄録

極端に窒素源を制限した液体培地にタソパク源として人足駄部角質,人毛髪或いは牛爪より調製したケラチン・パウダーを加え, Candida albicans(C. albicans) を接種し,その人角質溶解性タンパク分解酵素 (Ker-atinolytic proteinases : Kpase) の産生能を比較検討した.人足鯨角質を添加培養した系にのみ Kpase の産生がみられた.本酵素は至適 pH 4.0 近辺を示し,EDTA ,EGTA 及び carboxyl 系 proteinases の特異的阻害剤である pepstatin A で阻害された.又,chymotrypsin, papain 等の serine 系あるいは serinethiol 系 proteinases の阻害剤で同時に cathepsin A,B,D などの carboxyl proteinases の非特異的阻害剤でもある chymostatin 添加によっても阻害された.一方, trypsin などの serine 系 proteinases の特異的阻害剤である soybean trypsin inhibitor (SBTl), 或いは thiol proteinases の阻害剤である N-ethyl・maleimide(NEM)では全く阻害を受けなかった.以上のことから C.albicans は人角質に遭遇することによりこれを分解する proteinoses を産生し,その酵素は二価金属イオンを必要とし, carboxyl系 proteinases である可能性が示唆された.

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© 1983 日本皮膚科学会
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